「カラ期間」算入で救済も
Q 専業主婦ですが、公的年金の加入期間が25年に達しません。年金はもらえないのでしょうか。
A 老後の公的年金を受け取るには、原則として、公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)への加入期間が通算で25年以上あることが要件です。「受給資格期間」と言います。
しかし、全国民共通の基礎年金制度が設けられ、国内の20歳以上60歳未満の人に国民年金への加入が義務づけられたのは、1986年度からです。それ以前は、サラリーマン世帯の専業主婦などは、加入するかどうか任意でした。この間に加入しなかったために、加入期間が25年に満たない人は少なくありません。
原則通りなら、無年金の人が続出してしまいます。このため、こうした人たちが受給資格期間を満たせるようにするための制度が設けられています。
「合算対象期間」と言って、基礎年金の受給額には反映されないけれど、受給資格期間の勘定には加えてもらえる期間です。一般に「カラ期間」と呼ばれます。
代表的なのは、86年3月以前に、サラリーマン世帯の専業主婦が、国民年金に任意加入しなかった期間。
例えば、今年4月に60歳になった専業主婦を想定してみましょう。20歳でサラリーマンと結婚して専業主婦となり、国民年金加入が義務化される前は、未加入だったとします。
加入期間は86年4月(39歳)から60歳になるまでの21年間なので、原則通りなら年金は受け取れません。しかし、20歳から39歳になるまでの19年間はカラ期間なので、これを合わせれば40年間。受給資格期間を満たします。
ただし、カラ期間は、基礎年金の金額には反映されません。従って、基礎年金額は、40年間加入した場合の満額(2007年度は年額79万2100円)の半分程度になります。
その他の主なカラ期間には、以下のようなものがあります。
▽学生が任意加入だった91年3月以前で、20歳以上の学生が国民年金に加入しなかった期間。
▽海外に住んでいた20歳以上60歳未満のうち、国民年金に未加入だった期間。
▽厚生年金などの脱退手当金を受けた期間。退職時に一時金を受け取って精算する仕組みで、今は対象が非常に限定されていますが、かつては女性の多くが利用できました。
いずれも、基本的に国民年金ができた61年4月以降が対象です。
今すぐチェック!
↓↓↓
未納、未加入期間分は少なく
Q 基礎年金の額は、どのように決まるのですか。
A 基礎年金は、すべての人に共通する公的年金です。日本に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金(基礎年金)への加入が義務づけられています。
サラリーマンなど厚生年金の加入者も、同時に国民年金に加入しています。厚生年金の保険料に国民年金の分も含まれているのです。共済年金も同様です。
また、サラリーマン世帯の専業主婦は、自分では保険料を負担しませんが、国民年金の保険料を納付したものと見なされます。
基礎年金は、公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)に通算で原則25年以上加入していれば、65歳から受給できます。受給額は、国民年金の保険料を納付した期間に比例します。20歳から60歳になるまで40年間、すべて納付していれば、満額の年額79万2100円(2007年度)になります。未納期間があれば、その分、減額されます。例えば、未納期間が10年あると、受給額は満額の4分の3の年額約60万円です。
厚生年金の加入者の場合、20歳前に就職したり、60歳以降も勤めたりして、加入期間が40年を超える人もいます。しかし、基礎年金を計算する際に見るのは、20歳以上60歳未満の期間だけ。基礎年金が満額を超えることはありません。
サラリーマン世帯の専業主婦だった人には、満額をもらえない人が目立ちます。この人たちは、1986年4月に基礎年金の制度ができるまでは、国民年金への加入が任意でした。任意のときに加入しなかった期間は、年金額を計算する期間には含まれないのです。
自営業者など国民年金だけに加入し、自分で保険料を納めている人は、所得が低い場合、保険料の免除が受けられます。未納期間の分は年金がゼロになりますが、免除期間については年金の一部が支給されます。
免除制度は、所得に応じて4段階に分かれ、免除の割合に応じて年金の支給率が決められています(図表)。例えば、「全額免除」の期間については、本来の年金の3分の1が支給されます。これは、基礎年金のうち税金でまかなわれる分です。09年度までに、税金負担分が2分の1に引き上げられる予定で、併せて支給率も見直されます。
年金の記録漏れが問題となっています。記録漏れがあれば、その期間は未納扱いになっている可能性が高く、当然、基礎年金額にも影響します。改めて、自分の加入歴をよく確認したいものです。
今すぐチェック!
↓↓↓
「厚生」65歳まで引き上げ
Q 年金は、何歳になったら受け取れますか。
A 国内に住む20歳以上60歳未満の人が加入を義務づけられている国民年金(基礎年金)は、原則として65歳から支給されます。
ずっと自営業や、サラリーマン家庭の専業主婦だった人は、受け取れる年金は基礎年金だけです。
一方、会社員などが加入する厚生年金は、現在は一部が60歳から支給開始されます。ただし、将来は65歳に引き上げられます。
厚生年金は、65歳を境に、支給内容と名称が変わります。
60歳代前半の年金は、「特別支給の老齢厚生年金」と言い、二つの部分に分かれています。加入期間に応じて金額が決まる「定額部分」と、現役時の賃金に応じて決まる「報酬比例部分」です。それぞれ、「特別支給の老齢厚生年金」の半分程度です。
このうち、報酬比例部分は、今のところ、60歳から支給されています。
定額部分は、1941年(女性は1946年)4月1日以前に生まれた人は、60歳で支給開始でしたが、その後に生まれた人からは、61歳、62歳と、段階的に引き上げられています。49年(同54年)4月2日以降に生まれた人は、定額部分は受け取れません。
定額部分がなくなった後、報酬比例部分の支給開始も段階的に引き上げられます。60歳から受け取れるのは53年(同58年)4月1日生まれの人まで。61年(同66年)4月2日以降に生まれた人は受け取れません。
なお、60歳代前半の年金は、厚生年金の加入期間が1年以上あることが受給要件です。1年未満の場合、生年月日にかかわらず、受給は65歳からとなります。
65歳以降の厚生年金は、「老齢厚生年金」と言います。金額の計算方法は、60歳代前半の報酬比例部分と同様です。
65歳になると、基礎年金も受け取れます。ただし、60歳代前半で、定額部分を含む厚生年金を受給していた人については、定額部分が基礎年金に切り替わる仕組みです。全体の年金額は増えません。
基礎年金には、60歳以降の希望する時期から受け取れる「繰り上げ受給」の制度があります。ただし、繰り上げ期間に応じて減額されます。厚生年金でも、報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられれば、同様の制度が適用されます。また、現在も、定額部分を基礎年金の一部とともに60歳まで繰り上げることが可能です。
今すぐチェック!
↓↓↓
原則25年以上加入が条件
Q 保険料の未納期間があっても、年金を受け取れますか。
A 現在は、国内に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金(基礎年金)への加入を義務づけられています。とはいえ、40年間加入しなければ、年金をもらえないわけではありません。
老後の年金(老齢年金)を受け取るには、原則として、公的年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金)の加入期間が、25年以上あることが条件です。「受給資格期間」という要件です。
転職などで、加入する年金制度が変わった場合は、それぞれの加入期間を足し合わせて判断します。
保険料が給与天引きの厚生年金と違い、自主的に保険料を納める国民年金では、未納が目立ちます。
未納期間は加入期間に算入されません。未納を続けると年金が減るだけでなく、全くもらえなくなる恐れもあります。障害を負っても、障害年金を受給できなくなります。
ただ、所得がないなどで、保険料を払えない場合もあるでしょう。そこで、国民年金保険料には、低所得者向けの免除制度や、若者向けの支払い猶予制度が設けられています。
免除や猶予を受けた期間は、受給資格を得るための期間に算入されます。未納より確実に有利です。
これ以外にも、保険料を払わなかった期間を受給資格期間に加えてもらえる仕組みがあります。「カラ期間」と言って、サラリーマン世帯の専業主婦が、国民年金への加入が任意だった1986年3月以前に、加入していなかった期間などが該当します。ただし、年金額には反映されません。
また、国民年金には60歳までに25年を満たせない場合、最長70歳になるまで加入できる制度もあります。
サラリーマンだった人は、生年月日によっては、25年未満でも年金を受け取れる場合があります。
図表のように、56年4月1日以前に生まれた人は、厚生年金または共済年金の加入期間が20〜24年でも受給できます。両方の制度の合計が、この期間を満たす場合も同様です。
また、51年4月1日以前に生まれた人の場合、男性は40歳以降、女性は35歳以降の厚生年金だけの加入期間が15〜19年以上あれば、受給できます。
受給資格期間を満たせないと、払った保険料が無駄になります。基礎年金には税金が投入されているので、自分は受け取れない年金のために税金を払うことにもなります。未納は禁物です。
今すぐチェック!
↓↓↓
加入期間、賃金水準で差
Q 高齢者が実際に受け取っている年金額は、いくらぐらいですか。
A 受給額は、どの制度に加入していたかによって、大きく異なります。
まず、ずっと自営業者や専業主婦などで、厚生年金に加入したことのない人について見てみましょう。
社会保険庁の調べによると、基礎年金(国民年金)だけを受給している人の平均月額は、約5万1000円(2006年3月末現在)です。
男性の平均が約5万6000円なのに対し、女性は約4万9000円で、約7000円の差があります。
基礎年金の受給額は、低所得による保険料免除を受けた場合を除き、基本的には公的年金に加入した期間の長さに比例します。現行では、40年加入すると満額の月約6万6000円が支給されます。ただ、未納や未加入だった期間があると、金額が減ります。
特に、女性の約4割は月4万円未満しか受け取っておらず、受給額が少ない人が目立ちます。
サラリーマン世帯の専業主婦(国民年金の第3号被保険者)は、保険料を納めなくても基礎年金を受け取れますが、この制度ができたのは1986年。それより前の期間は、保険料を払って任意加入していなかった場合、老後の年金額に反映しません。このことが、女性の年金が少なくなる大きな原因です。
次に、民間企業で長く働いた人の年金額を見てみましょう。
社保庁によると、厚生年金に20年以上加入していた人の平均月額は、約16万5000円(06年3月末現在、基礎年金を含む)です。男性の平均が約19万円なのに対し、女性は約11万円と、大きな開きがあります。
厚生年金の受給額は、加入していた期間の長さだけでは決まらず、賃金水準が高かった人ほど受給額が多くなる仕組みです。
このデータで、女性の勤務年数の平均は約24年と、男性の約35年より、11年ほど短くなっています。働いていた期間の平均年収(推計値)も、男性518万円、女性287万円。女性は男性の6割弱に過ぎません。
女性は出産や子育ての時期に勤めを辞める例が多いことが、厚生年金の受給額が男性より少なくなる、大きな原因になっているとみられます。
グラフには、厚生年金の受給月額の分布を示しました。男女間の差が大きいだけでなく、男性の間でも受給額にかなりの格差があることがわかります。
今すぐチェック!
↓↓↓