4月19日15時22分配信 毎日新聞

 ◇支援に消極的な自治体
 生活の根幹である健康を守るはずの医療費が、生活を追い詰める--。こんな矛盾が今、現実のものとしてはびこっている。その一端として報じた、生活困窮者向けの国民健康保険の窓口負担の減免制度が「使えない」問題(毎日新聞3月21日紙面)。国保加入者の半数は低所得世帯だ。取材を進めると、そんな現実を前にしても、公的支援に消極的な自治体の姿が浮かんできた。「制度があるなら活用しよう」と提案したい。【近藤希実】
 ◆要綱なしで却下
 減免制度は国民健康保険法に基づき、医療機関にかかった際の自己負担(原則3割)を減額や免除、猶予するもの。災害や失業などで生活が困難になった場合に適用される。
 1959年の法施行当時からあるが、その制度がほこりをかぶっているのは、国保を管轄する自治体に実施するためのルールがないからだ。厚生労働省によると、全国1811市町のうち、要綱や条例があるのは975市町のみ(07年)。その中で、低所得を理由に減免を認めているのは171市町と、1割にも満たない。
 実際に石川県羽咋市の男性(75)が昨年3月、減免を申請したところ、「要綱がない」として却下された。
 ◆生活保護も却下
 この男性は妻(73)と2人暮らし。数年前にがんが見つかって仕事を辞めざるをえなかった。納付期間が約3年分足りないために無年金で、月収は妻の年金8万円だけ。半分は昔、生活費を補うために年金を担保に受けた融資の返済に充てられ、介護保険料と国保保険料に加えて窓口負担を合わせた4万円を支払うと、底をつく状況だった。
 夫婦はまず生活保護を申請したが、別家計にもかかわらず、妻の妹の収入を理由に受け付けてもらえず、減免は「最後の希望」だったという。その後、県国保審査会で先月「却下は不当」とする裁決の通知が届いたものの、審理の途中で男性は75歳になり、後期高齢者医療制度に移行。減免は受けられなかった。
 ◆赤字の国保
 減免制度が普及していない背景には、国保会計のひっ迫がある。自治体の運営する国保は7割が赤字だ。羽咋市も09年度当初予算で、歳入の不足分6700万円を基金からの繰り入れで賄っている。
 このため自治体は周知に消極的になり、国保の加入者は制度の存在を知らないという結果に。加入者から相談や申請がなければ、自治体も要綱は定めない。こうして減免制度は法に明記があるのに「使えない」制度になってしまった。
 ◆支援の活用を
 厚労省の調査では、国民の約4割が加入する国保は、その50%が年収100万円未満の低所得世帯だ。生活困窮で払われない医療費は、未払い金の22%を占める。未払いの解消と低所得者救済のため、国は減免制度もセーフティーネットとして活用しようと、今年度から統一基準の制定を進めている。
 夫婦は融資を完済し今は生活費が一息ついた状態だが、行く末に不安は強い。やせた手をさすりながら、妻はつぶやいた。「助けを求めても、役所は冷たい反応ばかり。なんで支援の方法を考えてくれないんだろう……」
 公的支援は困った人を助けるためにあるのではないか。窓口負担の減免も生活保護も、あるいは昨秋から始まった新たな公的貸し付けも、積極的に活用することで、生きた制度に育ててほしい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100419-00000226-mailo-l17
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