産経新聞 8月30日(月)7時57分配信

 日本で100歳以上の高齢者の所在、行方がわからなくなっている問題は、各国でも強い関心をもって報じられている。長寿・高齢化社会に潜むひずみをも描こうとする姿勢も目立つ。この問題は、高齢者を大切にするという日本のイメージをも変えてしまうのか。

 ■「『がっかりするほかない』事件」ニューヨーク・タイムズ(米国)

 15日付のニューヨーク・タイムズ紙は1面で、日本人が自慢の種にしてきた長寿をめぐって、「がっかりするほかない」事件が起きたと伝えた。

 同紙は、日本人の長寿は「健康的な食事と、西洋とは比べものにならないくらい手厚く年長者に払われる敬意の証拠だ」と評したうえで、日本人は事件を契機に内省を深めていると観察する。

 「所在不明が明らかになった高齢者たちの探求は、自らの心の中の探求としても、急速に高齢化が進む社会の関心事となった」

 そして、日本ではすでに介護の過重負担や高齢者を食い物にした犯罪、ほとんど毎日のように発見される孤独死が大きな社会問題になっていると説明する。

 年金目当ての詐欺行為なのか、単なる事務手続き上の問題なのか、それとも解体される家族のきずなの象徴なのか-。同紙はこう問いかけ「これは無関心からくる高齢者の遺棄だ」との専門家の見方を紹介した。

 米国では、高齢者が介護施設や老人ホームに入所することはまったく珍しくない。同紙は「今回のケースは、子供は親の面倒をみるべきだという、日本社会に存在するある種の緊張を映し出している。長寿とは、自ら介護が必要なほどに高齢化した時点でまだ、親の面倒をみるということでもある」と分析している。

 さらに「統計上は平均寿命の数字はさほど変わらないというのが当局の説明だが、少なくとも日本人の100歳以上のお年寄りは、従前考えられていたよりもはるかに少ないことは事実だ」と指摘。「150歳まで生きることは自然界では不可能だが、日本の行政システムの中では可能かもしれない」と、自嘲(じちょう)気味に話す足立区職員のコメントで記事を締めくくっている。(ニューヨーク 松尾理也)

 ■「今の日本は10年後の韓国の姿」朝鮮日報(韓国)

 日本と同じように近い将来、高齢化社会を迎える韓国では、高齢者が所在不明となっている問題は衝撃をもって受け止められている。

 23日付の韓国紙、朝鮮日報は東京特派員のコラムを掲載し、コラムでは東京都大田区の104歳の女性がすでに死亡していた事例を取り上げている。息子が母親の年金を受け取るため、死亡届を出さず母親の遺体をポリ袋に入れ、大きなカバンの中に保管し、遺体はすでに白骨化していたというケースだ。

 そして「年に1度か2度あるかどうかという、こういった猟奇的な事件は、今の日本では毎日のように起きている」とし、「高齢者問題に貧困問題が重なった衝撃的事件であり、日本社会全体が動揺している」とつづった。

 韓国では、所在不明の高齢者は「幽霊高齢者」と呼ばれている。コラムは「幽霊高齢者の調査対象を70歳や80歳以下に下げれば、どれだけ衝撃的な結果が出るか分からない」と、日本で顕在化している事例は氷山の一角にすぎないとの見方を示した。

 コラムはまた、「高齢者が所在不明となっている現象を、単に『高齢化社会の影の部分』ということで片付けてしまってよいのだろうか。事態はあまりに深刻だ」と問いかけ、問題の根深さを指摘。「日本の政府やマスコミはもちろん、財界や市民団体もこの問題に取り組んでいるが、明確な解決法は見つかりそうにない」と、悲観的な見方を示した。

 コラムは最後に、韓国社会への次のような警告を発している。

 「問題は、日本より出生率が低く、高齢化の進み具合も速い韓国が10年後、日本のような姿になるかもしれないという点だ」(ソウル 水沼啓子)

 ■「高い関心『日本の評判ボロボロ』」タイムズ(英国)

 100歳以上の高齢者が1万人に達した英国でも、日本の高齢者所在不明問題への関心は高い。4日付のタイムズ紙は「高齢者が暮らしやすいとの日本の評判はボロボロだ」と酷評し、所在捜しによって「日本は高齢者を粗末に扱う国だ」という不愉快な結論が導き出されるだろうと指摘した。

 21日付の同紙は、行方不明者の家族による年金詐取の実態を伝え「日本の家族の価値観に、100歳以上のゾッとするような運命が加えられた」との見出しを掲げた。

 同居する高齢者が亡くなったのに死亡届を出さず、子供を大学に行かせたり、新車やテレビを買ったりするために年金を不正受給。死亡した母親の葬式を出す資金がなく、遺体を切断してリュックサックに詰めて隠していた事件もあった。

 同紙は、300人にのぼる100歳以上の不明者のうち、何人の遺体が天井裏や裏庭に隠されているのか、地方自治体も疑っていると伝える。「日本の国民は正直で役所の記録は正確だと信じられていた。だが、気がつけばどちらも信用ならないことがわかった」と、驚きを隠さない。

 こうした問題の要因について、ガーディアン紙のアレクサンダー・チャンセラー記者は6日付で「高齢者が増えすぎて若い世代が注意を払うのが難しくなった」と分析。

 日本では100歳の誕生日に首相からお祝いの手紙と記念杯が届くが、英国ではエリザベス女王から誕生日カードが送られてくる。

 同記者は「今年生まれた赤ん坊の4分の1が100歳以上生きるだろう。カードを送るバッキンガム宮殿は収拾がつかなくなる」と予測する。英国で実施される65歳定年制廃止は良いことだが、逆に寿命を縮めて高齢者問題を解消するかもしれないと記した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100830-00000074-san-int
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