MONEYzine 10月1日(金)9時0分配信

■国の借金がこのまま増え続けるとどうなる? 

 財務省データによると、平成22年6月末の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」は合計で950兆円にも上るとのことです。これだけだとよく聞く話でピンとこないので、今後の展開と対策案について考えてみましょう。

 歳出面では一般会計予算92兆円のうち、22兆円が国債費。これには償還も含むので金利負担だけみると利払費は9.8兆円。これを国債637兆円に対してのものとして試算すると、ざっくり1.5%程度の金利負担になります。「低金利だからこれで済んでいる」というところでしょうか。

 これを見て、一般会計全体の92兆円と比べて「まだ10%ちょっとなので大丈夫」と思うか、「仮に金利が3%上がったら、637兆円3%=19兆円増で、歳出の31%が国債の利払いに消える! 」と心配するかは、人生観が表れるところかもしれません。

■これからどうなる? で、どうする? 

 過去14年で国債は平均して1年で約28兆円増えました。今後もそれが続けられると考えるかどうかがポイントです。

●シナリオ1 ある日経済危機がやってくる? 

 近い将来、主に高齢化と人口減少に起因して日本は経常赤字国になると一部では考えられているようです。仮にそうなるとすると、いままでに溜め込んだ国民全体の外貨資産は次第に少なくなっていくと考えられます。それでも国の借金が増え続けていると、多くの前例のように、経済危機が突然やってくるかもしれません。

 具体的には、日本国民が自国の通貨に不安をいだき、それが次第に伝播して外貨や金などに換える動きが顕在化するとか、遠い外国における出来事に起因して原油価格が上昇するといったことがきっかけになるかもしれません。

 この際の状況としては円下落とインフレが想像されます。つまり、作りすぎた通貨の信用がなくなってしまうという状況で、日本でも第二次大戦後に経験しています。こうなると、政府の借金は二束三文となる「ガラガラポン」で、借金は実質的に帳消しとなります。ついでに円下落で輸出競争力も復活し、生活水準を落として再出発するという結果となる可能性もあるかもしれません。

 このシナリオを想定するのであれば、目先の円高にかかわらず粛々と円資産を減らす、外貨や外国株に投資する(eワラントも有効と思われます)、金や不動産などの実物資産を増やす、また、どんな状況でも稼げるように資格・特技などの人的資本(つまり自分や家族)に投資するといった対策が考えられます。

●シナリオ2 増税と緊縮財政でデフレ継続

 生真面目な国民性が幸い(災い)してか、「次の世代に借金を残すな! 」というスローガンに国民が同意して、大増税、大幅な歳出削減が進められることもありえます。その結果は、残念ながら経済活動が停滞し、株価は低迷、主だったグローバル企業は本社をシンガポールや香港に移してしまう結果になってしまうのではないかと個人的には危惧しています。というのは、97年の消費税増税、社会保障費アップ、所得税実質増税後のように所得税、法人税の落ち込みが大きくなり、結局、不景気と巨額の借金だけが残ってしまう可能性が高いのではないかと考えるからです。

 このシナリオならしばらくは円急落はないかもしれません。ただし、新興諸国の需要増によるコモディティ価格全般の上昇のため輸入品の価格は上昇する一方、国内の土地、株、賃金等には下落圧力が続く可能性があります。投資を考えるなら、国内であれば現預金や債券、国外であれば新興国株式、資源国通貨やコモディティ相場などが効果的と思われます。また、過去20年と同様に日本の株価指数のプットのトレーディングが有効な局面が多くなるとも考えられます。

●シナリオ3 また失われる20年

 大きな変革もなく公債の残高が増え続けても、日本国民が預貯金を通じて間接的に国債を買い続けたりして財政危機が顕在化しない可能性も考えられます。仮に、いままでのペースであと20年借金を続けると、単純計算で国債だけで560兆円増えて1197兆円にもなると予想されます。

 しかし、利払費の増加(約9兆円)分だけの増税(現在の消費税収約10兆円をちょっと下回るので、消費税を9%にすれば大丈夫? )をするか、それも国債の増発で補うとすると、なんとかなってしまうかもしれません。

 このシナリオを想定するのであればこれまでの20年でパフォーマンスが良かった国債、選択的な個別株投資、新興国株式などという対応が有効かもしれません。

●シナリオ4 リフレ政策による緩やかな借金減少

 市場金利は日銀が強引に低めに抑えつつ、インフレターゲットを導入して実質的に政府の借金の削減を図るという選択肢もあると思われます。例えば7%のインフレなら実質的な通貨の価値は10年で約半分になります。つまり名目物価の上昇で、所得・税収ともに増やし、借金を実質的に目減りさせることもできそうです。

 この場合、知らないうちに損をするのは預貯金や債券・債権保有者となると考えられます。このシナリオどおりに事が運べば円高対策にもなるので、日本企業は国際競争力を維持できる可能性が高くなると思われます。

 このシナリオを想定するのであれば、シナリオ1への対応に加えて、日本株や一部の国内不動産への投資も魅力が出てくると考えられます。

 次に話題を個人の投資に移し、「業界の常識」とされてきたアセットアロケーションの問題点について考えてみましょう。

■アセットアロケーションの問題点? 

 最近、ノーベル経済学賞受賞者で、現在の投資理論の基礎を築いた研究者の1人とされるシャープ博士より「従来のアセット・アロケーションには問題がある」という内容の論文が出されました(「Adaptive Asset Allocation Policies」, Financial Analysts Journal Volume 66 Number 3, May/June2010)。

「投資する資産を選択した段階で、リターンの大部分は決まる」という前提に立って、例えば「日本株a%、日本債券b%、外国株式c%...という具合に資金の投資割合を決め、価格変動分を定期的にリバランスする」というアセット・アロケーションの考え方は、年金基金などだけでなく、バランス型投信や個人の資産運用まで広く普及しています(個人的な印象では、投資運用理論の土台と言っても良いように思われます)。

 これに対して「業界の権威」とも言える方から問題が提起されたとすれば、私見では、今後の投資資金の流れにも影響を与えかねないものと考えています。

■従来のアセット・アロケーションの問題点

 シャープ博士はその論文の中で、従来のアセット・アロケーションには以下の様な問題があると指摘しています。

・従来のアセットアロケーションは、投資比率を維持するためのリバランスによって必然的に逆張り戦略になる(パフォーマンスが悪かったものを買い増し、パフォーマンスが良かったものを売る)
・すべての市場参加者が同時に安いものを買い、高いものを売るという逆張り戦略を取ることはできない(構造的な矛盾)
・マーケットが大きく上昇または下落する時は、逆張り戦略はマーケット平均よりもパフォーマンスが悪くなる
・自分以外の参加者が十分な情報を持たず、合理的な行動を取れず、かつ自分だけが市場の天底のタイミングを知っているということが暗黙の前提となっている・リバランスにかかるコスト負担が大きい

 さらに、上記の問題を修正するには、市場の構成比率の変化に応じた順応的なアセット・アロケーション戦略にする必要があるとのことです。

■かいつまんで説明すると

 上記を誤解を恐れずに個人的な理解に基づいて説明するなら、以下の様な事例が考えられます。当初 200の資金があり、これを50%ずつ日本株と外国株に投資したとします。

日本株 100 構成比50%
外国株 100 構成比50%

1年後に日本株は20%下がって80に、外国株は50%上がって150になっていたとします。すると構成比は35%と65%になってしまいます。

日本株 80 構成比35%
外国株 150 構成比65%

 従来のアセットアロケーションでは、元の比率に戻すために、下がった日本株を買い増し、上がった外国株を売るというリバランスを行います。しかし、これには、

・日本株は今後さらに下がり、外国株はさらに上がるかもしれない
・リバランスのタイミングが日本株の底、外国株のピークとは誰にも分からない
・市場参加者全員が日本株を買いたがり、外国株を売りたがると取引相手がいない
・リバランスの取引コストは一般に大きい
という問題があります。

 これも私の理解ながら、シャープ博士の提案は、「市場全体の構成比に基づいて当初の投資比率を決めるなら、その後の市場規模の変化に比率を合わせれば良い」というもので、上記の例であれば日本株35%、外国株65%のままで何もしなくて良いことになります。

■今後の投資に生かすなら

 過去20年のように日本株が下がり続けていればリバランスはしなかった方が良かったといえます。また、同様にリバランスで実質的に逆張り戦略をとっていたら、中国株やインド株の大きなリターンを得ることは難しかった思われます。

 実際には、プロの運用者がアセット・アロケーションを行うときには各資産への投資比率に幅を持たせたり、比率そのものを戦略的に見直したりして機械的な逆張り戦略とはならないようにしていると思われます。それでも、今回指摘された点が今後広く受け入れられていくなら、関連業界への直接的な影響に加えて、すでにウェートが下がってきている日本株や欧米諸国への資金フローがあまり増えず、通貨価値の上昇も含めて市場規模の拡大を予想する向きが多いと思われる新興諸国の株式・債券市場への資金フローがますます増えていく結果になる可能性もありうると、個人的には考えています。

 また、eワラントで短期トレーディングを行ったり、トラッカーeワラントで中長期の投資を行ったりする際にも、こういった大きな資金フローに影響を与えかねない動きには今後ますます注意が必要になると思われます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101001-00000000-sh_mon-bus_all
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