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現代ビジネス 2月29日(水)8時5分配信

 年金資産を運用するAIJ投資顧問が、顧客から預かった運用資産約2千億円の約9割を失っていたことが明るみに出た。資金の行き先(本当に運用の損だけなのか? )や、損失の経緯などまだ分からない点があるが、虚偽の運用報告(金融商品取引法違反)があったことは確かなようだ。

 そもそも不自然なまでに安定的に高利回りが実現していることと、運用と資産保全の実態がよく分からないことから、はじめからAIJ投資顧問を避けていた年金関係者も少なくないようだ。

 ある年金運用関係者の話によると、確定給付型企業年金(厚生年金の代行部分を持たない確定給付年金の仕組み。大企業の年金が多い)の運用担当者は「AIJは怪しい」として多くが同社を相手にしない方針を採った一方で、主に総合型(多くは中小企業が業種や地域別に集まって設立)の厚生年金基金が数十基金AIJ投資顧問のセールスに引っ掛かった。同社は、地方の有力基金をまず落とし、そこからの紹介で顧客を増やしたと聞く。

 厚労省の発表によると、運用資産の半分前後をAIJ投資顧問に委託していた基金が3基金ある。こうした基金では存続が危うくなる可能性があるし、この損失を補填するために、加入企業が倒産する可能性もある。

 さて、今回の「AIJ事件」(これは、事件と呼んでいいだろう)の本質は、半分は運用業者であるAIJ投資顧問の不正だが、もう半分は、年金加入者のお金を預かるプロであるはずの年金基金がAIJの不正とそもそもの運用のおかしさを見抜けずに年金資産を大きく毀損してしまった杜撰な年金運営の問題だ。

 さて、運用業者の問題と年金基金の問題があるとなれば、監督官庁は金融庁と厚生労働省になるが、事件発覚からの両官庁の動きは対照的だ。

 24日に事件が大きく報じられた時、筆者は、テレビ画面に出てくるのは問題の重要性から見て小宮山洋子厚生労働大臣かと思っていたら、出てきたのは自見庄三郎金融担当大臣の方だった。

 金融庁は、AIJ投資顧問に1ヶ月の業務停止命令を出して実態を調査する方針を示す一方で、他の投資顧問業者についてもこうした事例がないか全社に対して調査する意向を表明した。その後、運用に関する虚偽報告の実態が明らかになるにつれて、AIJ投資顧問に対する処分方針は、投資顧問業者としての登録抹消へと変化した。加えて、投資顧問会社に加えて、運用資産を預かる信託銀行に対しても大手信託に対しては早速24日にヒアリングを開始した。信託銀行に対しては、今後、AIJとの取引実態のヒアリングだけでなく、他の運用会社の資産が適切に管理されているかを点検する方針が報じられている。

 もちろん、重大な事件なので実態の解明を急ぐことや、再発防止の対策を講じることはいいことなのだが、ずいぶんな張り切りぶりだ。

 一方、今回の件に関して腰が重いのはもう一方の重要当事者である年金基金を監督する厚生労働省だ。



 28日になってAIJ投資顧問に対する年金基金の運用委託状況を一覧表で(基金名を伏せて)公表したものの、基金の運用状況の現状調査の方針も再発防止策も発表されていない。28日に小宮山大臣が、「有識者による検討会議を設置したうえで、金融庁や証券取引等監視委員会の調査の状況も見ながら、夏ごろまでにガイドラインの見直しの方向性について結論を出す」考えを示したにとどまる。

 筆者は官庁に勤務経験が無いが、「有識者による検討会議」という仕掛け、夏「ごろ」という期限、「見直しの方向性」という曖昧なアウトプットの設定を見て、社会人としての常識を働かせるなら、厚生労働省に「やる気」が全くないことが伝わってくる。

 確かに、年金基金の運用ガイドラインには問題があるだろう。運用に関して十分な知識や経験のあるスタッフを持たずに、内容も理解せずに「オルタナティブ投資」を謳う運用商品に多額の資金を投入する年金基金が多数ある。

 もともと企業年金の資産は、年金の加入者から預かったものであり、また税制上の恩典を与えられた公的な性格を帯びた資金でもあるから、理解と管理が行き届く範囲で保守的に運用される必要がある。現在、身の丈に合わない運用をしている基金が多数あるし、こうした基金が運用業者のセールスに晒されている。

 また、今回のAIJ事件の背景には、特に総合型の厚生年金基金の「行き詰まり」があると見るべきだろう。AIJの顧客の大半は、総合型と呼ばれる厚生年金基金だった。「総合型」とは、同じ地域や業種の主に中小企業が多数寄り集まって設立した厚生年金基金を指す。

 この種の基金の多くが、大きな積立不足を抱えて、掛け金を引き上げて財政を健全化することもできず(加入企業の負担が増えるので合意が難しい)、さりとて解散することも出来ず(損を埋めなければ解散できないので、これも合意が難しい)、高すぎる運用目標(運用の予定利率として5.5%を使う基金がまだ多数ある)を掲げたまま、運用だけに回復の希望を託して、ハイリスクな運用に「賭ける」状況に陥っているのだが、厚労省はこれを放置している。本当は、早く試合をストップしてやらなければならないふらふらの素人ボクサーに、いつまでも試合を続けさせるような危ない状態だ。

 はっきりいって、財政状態が健全なら、あるいは無理な運用目標がなければ、今回引っ掛かった基金の多くは、AIJ投資顧問に運用を委託したりしなかっただろう。彼らには、貧したからこそ、鈍した側面があった。

 そもそも保険である年金を細かな単位で「基金」にして多数設立したことの非効率(天下りポストは増えたが)、運用会社でもない事業会社に巨大な運用リスクを持たせる制度を作ったことの不合理、高すぎる運用予定利率の設定を放置したこと(無理な運用の原因になった)、基金に素人運用を認めてきたこと、積立不足が発生してもいつまでも運用リスクを取らせていたこと、など、厚労省の企業年金行政は複合的な失敗を重ねてきた。

 こうした失敗が集中的に表れていて、当事者にそこから回復する力が乏しいのが、多くの総合型厚生年金基金の現況なのだが、今回の事件はこの問題を表面化させた。



 年金基金側の問題を「運用ガイドライン」の問題に矮小化させるべきではない。総合型厚生年金基金の行き詰まりを中心とする、厚労省の企業年金行政の失敗を整理することと、具体的な問題解決の施策が必要だ。財政が悪化した基金の解散(税金の投入も必要かも知れない)、残る基金に対しては無理のない運営方針の指導、加えて、加入企業のフェアな条件での離脱を容易にすること、など、早急に取り組むべき問題が複数ある。

 さて、今回のような問題の再発を防ぐためにはどうしたらいいだろうか。

 運用機関を徹底的に管理して、虚偽報告のような不正行為や不適切なセールス出来ないようにするというのも一つの考え方だが、これは事実上不可能だし、そのための努力はコストがあまりに大きいように思える。「徹底的な管理」は、大多数の真面目に運用している運用会社の不自由と手間とコストを増やし、運用ビジネスの発展を阻害する可能性があるのではないだろうか。運用ビジネスに対する参入障壁も一層高まる。

 リテール向けの運用ビジネスであれば、運用商品・サービスに対する供給サイドでの厳しい規制が必要な場合もあるが、プロ同士の運用ビジネスであれば(総合型基金相手のビジネスは、とてもプロ同士のビジネスとはみなせないが)、運用を任せる側も真剣に相手を選ぶはずだから、ビジネスのやり方にはある程度の自由度を残していいのではなかろうか。

 AIJ事件、発生後の金融庁の張り切りぶりを見ると、もちろんいい面もあるのだが、これが運用業界の「コンプライアンス・コスト」を過大なものにしてしまうのではないか、との懸念が少々頭をもたげる。

 一方、それ以上に大問題なのは、今回の問題の背景でもあり、それ自体が大問題でもある企業年金の惨状に対して、厚労省の動きがあまりに鈍いことだ。

 運用ガイドラインの問題にしても、厚労省自体にこれを検討するに十分な見識があれば、修正案が「直ちに」厚労省から出てきていいはずだ。これが出来ないこと自体が、年金運用に対する厚労省の能力不足を端的に示しているのではなかろうか。有識者の検討会議などと寝ぼけたことをいっている場合ではない。

 それにしても、今回の事件発生で、自分の年金は将来大丈夫なのかと心配なサラリーマンが多いのではないか。たぶん、その心配は正しい。もっぱら公的年金の問題ばかりが話題になる昨今だが、公的年金よりも一足先に企業年金に(特に厚生年金基金に)危機が迫っている現実に、早急に対処する必要がある。AIJ事件は、この問題に光を当てた点にこそ意味がある。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120229-00000001-gendaibiz-pol
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2012.03.05 Mon l 年金 l top ▲
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