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Business Media 誠 6月4日(月)10時5分配信

藤田正美の時事日想:
 それにしても何という体たらくだろう。野田総理と小沢元代表の会談である。どれほど小沢代表が力があろうと、これは党内問題だ。輿石幹事長がわざわざセットして鳴り物入りでやるような話ではあるまい。小沢元代表がどうしても消費税引き上げ法案に賛成できないというなら、それは袂(たもと)を分かつしかないのである。

 そして小沢元代表と袂を分かつのなら、輿石幹事長を外すしかない。もともと輿石氏を幹事長にすえたのは、野田氏が代表に選ばれたときに「ノーサイドにしましょう、もう」と言ったからだった。小沢サイドとの融和を図るための人事だったのだから、それを調整できず、決定的対立(党議拘束があっても採決すれば反対票を投じると小沢氏は明言した)にまで持ち込んでしまったのは輿石幹事長の責任である。

 野田総理は、「命を懸けても消費税引き上げ法案は今国会中に成立させる」と断言した。その言葉は今や「国際公約」になっている。それが難しい公約であることは誰しも承知しているが、もし実現できなければ野田首相のリーダーシップは信用されなくなる。そして信用を失えば、普天間基地問題は解決できないし、通貨円はいいように利用されるだろう(売られたり、買われたり、国際投資資金の思うままに利用されるということだ)。

 自民党との修正協議ということになれば、焦点は消費税引き上げそのものではない。税と一体的に改革される社会保障をどうするかということだ。なかでも民主党と自民党の最大の違いは「最低保障年金」という思想である。月7万円を年金掛け金を払っているかいないかにかかわらず、誰にでも保証するというのが民主党のマニフェストだが、自民党はこれに強く反対している。

 もしこの月7万円を税金から支出するとなると、これだけで消費税の数パーセント分は吹っ飛ぶのだという(実際にどの程度の年収の人まで支給するかによって必要額は大きく異なる)。年金は保険制度、つまり掛け金を払っている人が受け取れる仕組みである。ということは、「掛け金を払わなくてももらえるということになったら、国民年金に入っている人は払わなくてもいいということにもなりかねない」というのが自民党の主張だ。

 本来的に低所得者対策というのなら、最低保障年金ではなく、生活保護にするのが筋だ。今、生活保護の「不適当」受給と生活保護の金額が議論の的になっているが、その金額や基準はどうであれ、これはセーフティネットそのものだ。年金は本来的にセーフティネットではないのだから、そこに巨額の税金を投入するのは適当ではないと思う。

●本来的にやるべきことは社会保障給付の削減

 民主党は、2009年のマニフェストで、いわゆるリベラル的な政策を描いて見せたが、財源問題と政策の整合性でつまずいている。それにもし野田首相が、日本の財政状況から言ってこの「一体改革」が待ったなしであると言われるのなら、本来的にやるべきことは、社会保障給付の削減でなければならない。

 もともと現在、約22兆円ほどある「基礎的財政収支の赤字」を埋めるために、消費税の増税だけでやるのは無理な相談なのだ。なにせ22兆円といえば、消費税でいうと11%分に相当する。2015年までに10%に引き上げても、まだ5%分は上げなければならない。もちろん経済が政府の目論見どおり名目3%実質2%も成長すれば話はずいぶん違ってくるが、デフレから脱却することもままならない状況で、それほど成長力があるとはとても思えないのである(今年の第1四半期は年率4%を超える成長率だったが、これは「復興特需」があるからで、今年後半は息切れが心配されている)。

 それに今年の予算で最大の支出項目である社会保障関係費と地方交付税交付金は合計で約43兆円。しかもここは現在の制度のままでも毎年1兆円以上増えるのである。今年から団塊の世代が前期高齢者に入りはじめたから、医療費も増えることが予想されている。そうであれば、例えば老人医療費の窓口負担の軽減措置は止めなければならないだろうし、国民背番号制の導入による所得の把握とそれに伴う社会保障費や医療費の無駄の削減などが喫緊の課題だ。つまり社会保障関連の支出を持続可能な形にしないと、ただただ野放図に支出が増えて、「低福祉高負担」の国になりかねない。

 自民党も妙な妥協をせずに、過去の反省も込めて持続可能な日本の形を追求すべきだと思う。6月21日の会期末を控えて、いろいろな政治的思惑が交錯するのだろうが、日本が現在抱えているトラブルを解決できるのかできないのか、その時限爆弾も時を刻んでいることを、政治家は忘れないでもらいたいものだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120604-00000022-zdn_mkt-ind
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2012.06.09 Sat l 年金 l top ▲
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