THE PAGE 3月3日(月)19時0分配信

 今年の4月から消費税率が8%に引き上げられます。消費税を上げる最大の理由は、国と地方の借金の合計が1000兆円を超えていて先進国最悪という事態を少しでも和らげたいからです。そうでなくても国の1年分の歳入(収入)のうち約半分が借金です。要するに毎年毎年、借金生活をしつつ外側にどえらい大借金があり、少しでも返していくメドを立てないとカネのやりくりがつかなくなって「国の倒産」になりかねないのです。

かさみ続ける年金・医療費

 借金を返そうと考えたら、(1)収入を増やす努力をする、(2)歳出(支出)のなかで大きなものから見直していく、が大原則なのは家計も国家財政も同じ。(1)が消費税増税で(2)が社会保障費です。

 社会保障費の内訳で「大物」なのは年金、医療で8割ほどを占めます。人口構成比で今ですら4分の1を占める高齢化は今後さらに進むのが確実。年金は高齢者の命綱で、年を取るほど病気になりやすいのも自明なので医療費もかさみます。近年では社会保障費は毎年1兆円ずつ増えてきました。2014年度予算案ではさまざまな抑制策を使って6000億円程度に押さえつけたものの、増加傾向は止めようがありません。

なぜ消費税が選ばれた?

 ではなぜその対策にさまざまある税のなかから消費税が選ばれたのでしょうか。よく勘違いされがちなポイントですが、端的にいえば「それならば高齢者からも取れるから」です。社会保障費増の主因である高齢者からの負担も見込めるので相性がいいわけです。

 例えば所得税(収入の約15%)は現役世代からしか徴収できません。会社にかける法人税(同約10%)も重くしたら企業経営に負担が生じ、めぐりめぐって働き手の給与に響きます。その点で消費税(同11.5%=5%時)は買い物客の年齢がいくつであっても関係ありません。現に初めて導入した1989年(税率3%)と5%に引き上げた1997年には所得減税も合わせて行いました。2014年4月からの8%(3%増)の議論でほとんど出てこなかったのは、もはや他の税を下げる余裕がないところまで追いつめられたからでしょう。

 したがって消費税増税分は引き上げ法が決まった直後の2013年8月に当時の野田佳彦首相が「増税分は社会保障に使う」と明言しています。

増税でどれくらい財政は潤う?

 さて増税でどれぐらい潤うのでしょうか。政府などの試算だと1%分で約2.7兆円。3%で8.1兆円、5%で13.5兆円の収入になります。国と地方の取り分は8%段階で国6.3%で地方1.7%。ただ国の取り分のうち1.4%は財政が厳しい地域に配分する地方交付税分なので、実質的には国4.9%で地方3.1となります。10%まで上げれば現在収入トップの所得税を抜いて20%近い最大財源となるでしょう。

 首相が「社会保障に使う」と言明し、財務省も「消費税の福祉目的化」とうたっているので使い道を決めて集める「目的税」かどうかという議論もあります。ただ本来の目的税は「銭湯代にかかる税」のような主に地方財源で税法上あくまでも普通税。したがって「福祉に使われるならば許すか」と考えている方は今後の予算審議で本当にそうなっているのか確認する必要があります。

どれくらいが社会保障に回るのか

 増税で巨額の収入が入って社会保障はウハウハになるかというと違うというのもつらいところ。たぶん今よりよくはなりません。というのも社会保障のうち最大級の年金、医療、介護などは税とは別の社会保険料でまかなう原則なのを足りないので税や赤字国債(借金)で穴埋めしてきたからです。そこを消費税に肩代わりさせると年金だけで約3兆円、他の財源不足を補うための借金約7兆円が消えていきます。5%上げて13兆5000億円を手に入れても、赤字や税の肩代わり分で10兆円が消えてしまい、純粋に福祉サービスなどに回せるのはせいぜい1%分ぐらい。その間にも社会保障費は右肩上がりに増え続け、10%が完了する2015年時点で早くも枯渇、不足しそうな状況なのです。つまり「それでも借金は増え続ける」という暗黒の結末が、残念ながら間違いなく訪れるのです。

 2014年4月の3%上げを前にして「景気が腰折れする」「買い控えが起こる」と不安視する向きもあります。おそらく的中するでしょう。特に増税後の4月~6月までの四半期(3か月)間は。でも7月からは回復するという楽観論もあります。これは消費税特有の性質を前提にしていて「景気に左右されにくい」「特定層(主に働く世代)に負担が集中しない」「正確に徴収できる」など。確かに5%に引き上げた1997年以降の税収は安定しています。

アベノミクスと矛盾する増税政策

 しかしその時期は同時に「失われた20年」であったのも忘れてはなりません。安倍晋三首相が進めるアベノミクスは日本銀行に頼んで市場に大量の資金を流して、円安を誘引して、公共事業で刺激しながら輸出を促進するという図柄です。そんななか資金を吸い上げる増税をするのは少なくとも「アベノミクス的」には正反対の政策。楽観論の中心にある「個人消費は底堅い」も一部の富裕層(多くが高齢者)に引っ張られているとの見方があり、そうした人は増税前に高い買い物(代表が住宅)を済ませてしまいそうです。輸出高も円安に振れたのに2013年は伸び悩みました。

 こうした「矛盾」を安倍首相も痛感していて2014年2月には総額5.5兆円の補正予算を成立させました。ただ中身は首相自身が本部長を務めた行政改革推進会議が効果を問題視し、14年当初予算案から消えたはずの事業が形を変えて復活するなど不可解な項目も。相変わらず公共事業頼り。この方法は「失われた20年」で散々使い回してうまくいかなかったばかりか、近年では建築業も機械化、IT化が進んで「事業を作ればつるはしとスコップをもった作業員がドンと集まって活気づく」といった風景は遠い過去です。

 それでも対策をしないよりした方がいいでしょう。でもこれって何か変でないですか。対策が必要な理由は消費税を上げると景気が落ち込むから。ならば最初から上げないか、せいぜい1%ぐらいにしておけばよかったのに。どうもこの辺に景気を良くしたい安倍首相と、死んでも消費税を上げたい財務省と、景気は良くしたいけど財政悪化で毎月7兆円も出して市場から7割も買い入れている国債が暴落したら目も当てられない日本銀行の3者によって作られた「落としどころ」のような気もします。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140303-00000009-wordleaf-bus_all
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2014.03.09 Sun l 年金 l top ▲