Business Journal 7月2日(水)3時0分配信

「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/6月28日号)は『海外投資家の正体 アベノミクス相場第2幕を仕掛けるやつら』という特集を組んでいる。「日本株市場が上昇軌道をたどるかどうかは、今や売買シェア6割超を占める海外の投資家がカギを握る。今年に入り鳴りを潜めていた彼らはまだ日本株を買ってくるのか? どの銘柄を狙っているのか? 緊急アンケートを通じて海外勢の本気度を探り、その実態に迫った」という特集だ。

 昨年15兆円買い越し、株価上昇を主導した外国人投資家は、年明けから5月までに約1.5兆円売り越した。移り気な投資家は、インドなどに目を向け始めている。インドはモディ新首相が掲げる経済政策のモディノミクスが始動し始めたからだ。

「株価に敏感な安倍政権は成長戦略に本腰を入れ、6月13日には安倍首相自らが経済財政諮問会議で法人税を『数年内に20%台に引き下げる』と明言した。しかし、株式市場の反応は鈍い」(同記事)

●GPIF改革で株価上昇?

 それでも今回の特集では、ヘッジファンドを中心に海外機関投資家の動向に詳しい日本のパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの協力を得て、欧米とアジアの機関投資家に投資意向の緊急アンケートを行っている。その結果は、日本株を買い増ししたいと考えている外国人投資家が増えている。「今後1年間で組み入れ比率を引き上げたい株式市場として日本は欧米主要国を上回っている」(同記事)というのだ。

 その理由として挙げられるのは、成長戦略のほかに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株比率の見直しだ。GPIFは公的年金積立金(約130兆円)を運用する世界最大級の年金基金。アセットアロケーションは、国債など国内債券の比率がきわめて高く、直近で全資産の60%が国内債券に振り向けられている。一方、国内株式の比率は13%でしかない。

 過去12年間の平均運用収益率は約2%にとどまっており、株式運用の比率が高い欧米などの年金基金に比べると利回りは見劣りする。また、政府の年金財政検証によると、将来の給付水準の目標を保てる標準的なケースは、4.2%の運用利回りが前提となっている。年金財政の強化という観点からも長期的な収益率の改善が求められており、株式などに運用対象を切り替えるのは合理的ともいえる。

 また、GPIFが株式での運用比率を高めれば、株価が上がることが見込まれる。米沢康博GPIF運用委員長が、日本株の比率を引き上げる意向を示したと伝えられただけで、日経平均株価は1万5000円台を回復したほどだ(6月3日)。今後は、9~10月をメドに資産構成で日本株を増やす方針だという。「GPIFによる日本株比率の引き上げ前倒しが明らかになれば、日経平均は7~9月に1万6000円、企業の業績予想の上方修正が続けば、2015年3月には1万7000円を超す」というチーフストラテジストの見立てを紹介し「株価の上昇基調を保つには気まぐれな投機マネー頼みでなく、長期投資家の本格参入が不可欠。それには企業業績だけでなく、政府による真摯な構造改革が必須だ」とまとめている。

●GPIF改革に投げかけられる疑問

 一方、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社/7月1日号)も『官製相場の賞味期限』という株式市場の特集を組んでおり、その中心はGPIFだ。「仮に(GPIFが)10%動いたら、13兆円」と、麻生太郎副総理兼財務相も6月6日の閣議後の記者会見で株式市場に与えるインパクトの大きさを披露したことが紹介されている。

 同記事は、すでにGPIFはじめ公的年金の日本株買いが始まっているのではないかという。5月19日から6月3日(日経平均が1万5000円を回復)までの株価の上り調子を買い手となって牽引したのは、信託銀行だった。「通常、年金の運用資金を預かる信託銀行は相場が下がるときに買って、上がると売る『逆張り売買』が中心だ。ところが、今回は株価が上昇する中での大幅な買い越しである」。この動きに合わせて外国人投資家も1000億円以上を買い越しているが、「超短期志向のヘッジファンドによる先物投資とみられている。欧米先進国の年金などの中長期の投資家が日本株を買い続けない限り、持続的な株価上昇とはいかないだろう」と、その脆さを指摘する。

 また、GPIF改革の方向性に疑問を投げかける経済メディアもある。

「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/6月21日号)の『寄稿 GPIF改革四つの誤り 政治介入で運用は崩壊する』という記事がその一つだ。寄稿した前GPIF運用委員の小幡績慶應義塾大学ビジネススクール准教授によれば、「GPIF改革は株価操作の道具ではない。年金の長期運用を改善するための100年の計の改革であり、それ以上でもそれ以下でもなく、これは年金運用への政治介入であり、長期的に運用環境を破壊し、大きな損失をもたらす。短期的にも、GPIFの先回りをして海外投資家が買い、GPIFは高値つかみをさせられる可能性が高く、株価を上げるための戦略としても稚拙な方法である」と警鐘を鳴らし、改革をするならば政治的な影響を受けやすい国内株ではなく、海外株投資にすべきだという。

 同様に「日経ヴェリタス」(日本経済新聞社/6月15日~21日号)記事『GPIF 国内株偏重への疑問』でも、臼杵政治名古屋市立大学教授が「経済政策のために公的年金が自国株式への投資を拡大した例も耳にしたことがない」「株価対策のために公的年金が株式投資をする国だという評判が立てば、価格形成の透明性を損ない、長期的には海外投資家を遠ざけることになるだろう」「経済活性化を目的とした日本株投資の増額は(略)欧米の年金基金の常識でもある『加入者の利益のための運用』に合致するのか疑問である」と批判的だ。

 普段は株式投資に前のめり論調の日経や「ダイヤモンド」ですらも疑問を投げかけているのが、現在の政府主導のGPIF改革なのだ。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140702-00010004-bjournal-bus_all
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