産経新聞 8月17日(月)9時30分配信

 バブル経済崩壊後の不況期に新卒者だった「就職氷河期世代」が40代に達し、35~44歳の壮年非正規労働者が増加している。

 就職氷河期世代は団塊ジュニア世代と重なり対象人数が多いためだ。総務省の労働力調査によれば、主婦のパートなど既婚女性を除いた壮年非正規労働者数は2012年には104万人(うち男性61万人)を数えた。2002年の51万人に比べ倍増である。

 正社員を望みながら機会に恵まれない35~44歳は2014年時点で70万人に上る。働くことを諦めた人もいる。34歳以下の「若年無業者」(いわゆるニート)は60万人前後で推移しているが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」によれば2012年の35~44歳の「非求職無業者」は40・1万人だ。うち25・5万人が男性である。

 彼らに、いまから正社員の道が開かれたとしても、問題が全て解消するわけではない。これまでの年金保険料の納付実績が少ないため、将来的に低年金・無年金状況になると予想されるからだ。

 一方、正社員であっても低賃金のまま年齢を重ねる人も少なくない。総務省の就業構造基本調査によれば20、30代の年収は下落傾向にある。

■低年金、無年金が増大

 壮年非正規労働者の増加は見えづらい。多くが親のすねをかじっているからだ。総務省統計研修所によれば、2012年の「35~44歳で親と同居する未婚者」は305万人で、この年齢層の16・1%を占める。

 そうした人の生活は、親が年金生活に入ったり、亡くなったりした途端に破綻する。老後に向けた貯蓄が乏しく、低年金、無年金という高齢者が将来的に増大することにもなる。

 高齢者数は2042年にピークを迎えるが、就職氷河期世代はこの時代に高齢者となる。小欄は高齢者数の増加による社会負担の増大を「2042年問題」と名付け警鐘を鳴らしてきたが、単に絶対数が増えるのではなく、「貧しい高齢者」が増大するということだ。

 しかも第3次ベビーブームは到来しておらず、この世代を支える「次の世代」は少ない。これを生活保護で対応しようとすれば、20兆円近い追加費用が必要になるとの試算もある。このままであれば深刻な社会問題となる。

 われわれは、この時代の負担を少しでも軽減するため、いまからでも、できることをしておかなければならない。将来的な低年金、無年金者を減らすことはできなくとも、1人でも多く安定した職に就けるようにすることだ。

 とはいえ、新卒一括採用が定着している日本で、壮年層が正社員に転じる道は狭い。ならば発想を変えて、高齢化で人手不足が深刻化する地方に活路を求めてはどうか。

 若い世代が減った地方の中には温かく迎え入れてくれるところもあるだろう。家族的な雰囲気の住環境と職場で一から仕事を覚えるのだ。

■定住を条件に就労支援

 見知らぬ土地のほうが、再出発しやすい面もあるだろう。第1次安倍政権の目玉だった「再チャレンジ」と、若者の地方移住をセットで展開するイメージである。

 お手本は島根県浜田市にある。定住の意思のある1人親家庭を対象に介護業務に携わることなどを条件として月15万円以上の研修手当や家賃補助、支度金の支給など、1年間の移住支援を実施している。これをモデルとして、研修費用や一定期間の住宅の無償提供を公的助成として行うのもよい。

 壮年になってからの就職なので収入面では好条件といかないケースもあるだろうが、居住費用をはじめ生活費が安い地方ならば暮らしは成り立つであろう。

 「消滅」を危惧する地方自治体は、若い世代のUターンやIターンを呼び掛けているが、都会に出た若者が現在の仕事を辞めて戻ることは難しい。同じ若い世代でも、非正規労働者のほうが移住にむけたハードルは低い。

 地域の中で仕事を覚えて定住し結婚することになれば、労働力不足の解消だけでなく、出生数増につながる期待も持てる。積極的に受け入れるメリットはあるだろう。

 これは問題解決の特効薬とはいかないまでも、選択肢の1つにはなり得るはずだ。

 就職氷河期世代が再チャレンジできる年齢にあるのも、あと数年だ。彼らが本当に働けなくなってからでは、手を打とうにも間に合わない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150816-00000513-san-pol
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