THE PAGE 5月1日(日)10時0分配信

 日本の公的年金制度は一般に言われているほど頼りない制度ではないです。特にサラリーマンであれば、基礎年金に加えて厚生年金がありますから老後の生活を支える柱の一つになることは間違いありません。

 ただ、労働人口が減る上に長寿化が進むことによって公的年金のサイズ全体が縮小することは避けられません。保険料を払う人が減るのに対してもらう人は増えていくのですからこれは、ある程度やむを得ないと言っていいでしょう。

年金は早く受け取らない方がいい!?
 このため、公的年金の制度は20年前から様々な対策を講じてきていますが、その中の一つに年金の支給開始年齢を遅らせるという対策があります。それまで年金を受け取れるのは60歳からでしたが、序々にそれを伸ばし、既に年金を受給している人を除けば、ほとんどの人にとって年金を受け取ることができる年齢は65歳からになりました。

ところが公的年金には繰り上げ支給という制度があって、60歳からでも年金を受け取ることはできるのです。ただし、もし年金を繰り上げて支給を受けてしまうと、通常の受け取り開始年齢の場合よりも受給金額が少なくなってしまいます。

 どれぐらい少なくなるかというと、1カ月早めるごとに0.5%ずつ少なくなりますので、仮に5年早めて60歳から受け取り始めると、0.5%×12カ月×5年=30%、すなわち3割も年金受給額が減ります。さらに早めに一旦受け取ってしまうと、この減額された金額は生涯にわたって続くのです。

 それでも早く受け取った方が得じゃないのか? という意見もあります。大体、損得の分かれ目になるのは76歳ぐらいと言われていますから、それ以上長生きすれば通常の受給が得、それより早く亡くなれば繰り上げ支給を受けた方が得、ということになります。でも死んでしまえば得も損もありません。

 そもそも年金というのは長生きした結果、お金が無くなってしまうというリスクに備えるための保険です。だから公的年金は終身(死ぬまでもらえる)なのです。だとすれば、損得で考えるのはあまり意味がないわけで、あくまでも長生きするというリスクに備えるものであると考えておくべきです。よく金融機関が「年金なんてもらえるうちにもらっちゃった方がいいですよ」と言って繰り上げ受給を勧めることがあると聞きますが、おそらくそれは年金の受け取り口座を自行に作ってもらいたいがためのセールストークだと考えたほうがいいでしょう。

年金受け取りの裏ワザ
 したがって公的年金制度の本来的な役割を考えた場合、私は我慢して繰り上げ支給をしない方がよいと思います。でもさらにもう一歩進めて逆の発想を考えてみましょう。本来なら65歳から受け取れる年金をあえて受け取らずに支給を遅らすことができます。この場合は、繰り上げ支給とは逆にもらえる年金額は増えます。

 どれぐらい増えるかというと、先ほどの繰り上げ支給とは逆にもらい始めるのを1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていきます。仮に70歳まで5年間受取り開始を遅らせると、0.7%×12カ月×5年=42%、何と受け取る年金額が4割以上も増えることになります。

 例えば年間の公的年金受け取り額が通常の受給で200万円ぐらいであれば年間84万円増えることになるわけです。これは年利8%で5年間運用した場合以上の金額となります。しかも価格変動リスクはないわけですから、これ以上ない有利な資産運用法と言っていいでしょう。60歳で受け取る場合は3割減って7割しかもらえないのに対して70歳まで10年間我慢すれば何ともらえる金額は倍も違ってくるのです。

 もちろんその場合、公的年金は70歳まで受け取ることができないわけですから65歳から70歳までの5年間の生活費はほかで準備をしておくか、あるいは70歳まで働いて収入を得るといったことが必要になります。実際に65~69歳で働いている人の割合は内閣府の調査によれば男性で49.0%だそうですから2人に1人はほぼ70歳近くまで働いているということです(平成26年版高齢社会白書)。

 60歳までにお金を蓄え、さらに無理しない範囲内で70歳まで働いてそれからゆったりと年金を多めにもらうというのも一つのアイデアと言えるでしょう。今から老後不安に備えるための方法の一つです。

 さらに夫婦であればこういう方法も可能です。ご主人の年金は65歳から受け取り、奥様の年金を70歳に繰り下げます。女性の方が平均寿命は9年ぐらい長いわけですから多くの場合、奥様が一人で暮らす期間が生まれてきます。したがって、夫婦で生活するのは旦那さんの年金を使い、奥様の年金は受け取りを遅らせることで多めにもらうということも可能になります。特に奥様が働いている場合は厚生年金に加入していますからこの方法は大いに有効です。

 現行の制度をうまく活用することで年金額を多く受け取る方法、一度検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
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2016.05.07 Sat l 年金 l top ▲