ダイヤモンド・オンライン 10/26(水) 6:00配信

 3%と5.2%。これは、現在国会で審議中の年金制度改革法案に基づく公的年金額減少率の現在の水準からの減少幅に関する厚生労働省と民進党の井坂信彦議員の試算結果だ。

 名目手取り賃金が減少した場合に、従来の仕組みより年金額の減少率を大きくすることは、今回の改定の柱の一つだ。

 具体的には、これまで名目手取り賃金が減少した場合、物価が上昇していれば、翌年の年金額は据え置き、物価の下落率が名目手取り賃金の減少率より小さい場合は、物価の下落率に合わせて年金額を減額していた。それを、今回の改定案では、どちらのケースでも名目手取り賃金の減少率に合わせて年金を減額するようにする。

 民進党はこの法案を「年金カット法案」と称して安倍政権を追及している。井坂議員は10月4日に、2005年度までさかのぼって今回の法案の改定ルールを適用した場合、16年度の年金額減少率が現在より5.2%減少するとの試算を提示した。同党は、政府にも同様に今回の改定案に基づいた試算を提出するよう求めていた。

 17日に厚生労働省から公表された結果が3%。なぜ、井坂議員の試算と差が生じるのか。

● 年金保険料を除外

 厚生労働省は、試算の減少幅の違いについて、17年度まで続く厚生年金保険料の引き上げがもたらす可処分所得減少による名目手取り賃金減少分が反映されていないことを理由に挙げる。反映しない分、1年当たり0.2%ほど年金額の減少幅が小さくなる。

 改正案で新ルールを適用する21年度からは、厚生年金保険料引き上げによる可処分所得減少の影響がなくなる。これを受けて今回の試算の場合も、「保険料引き上げによる減少分を反映しなかった」というのが厚生労働省の言い分だ。

 しかし、名目手取り賃金の増減を年金額改定に反映するとしている以上、減少分の算出から除外するのはおかしい。年金カットだとの批判をかわすために、減少幅を小さくするための方便と言われても仕方ないだろう。

 今回、本誌編集部で過去の年金改定時に使われた物価上昇率、名目手取り賃金上昇率を使って、厚生労働省が前提とする年金保険料による名目手取り賃金減少分を除外したケースと除外しないケースで、新ルールを05年度までさかのぼって適用した場合の年金額減少率を試算し、適用しない場合の16年度における減少率の水準と比較した。除外しないケースとの減少率の差は、民進党の井坂議員のケースと同じ5.2%となった。除外したケースでは3.3%と3%を超えた。

 厚生労働省に3%を超えたことを伝えたところ、「試算結果の3%は丸めた数字。丸めていない結果は答えられない」との回答が返ってきた。3%を超える結果を丸めての3%であれば、なおさら減少幅を小さくしようという意図を感じざるを得ない。

 賃金の減少幅に合わせて年金額を減少させることを徹底する今回の改定案は、年金制度の持続性を高める。それに反対する民進党の見識ははなはだ疑問。だが、年金カットの批判をかわすためとしか思えない、減少幅が小さくなるよう前提を置いた試算をする厚生労働省の姿勢は欺瞞というほかない。
スポンサーサイト

 ←応援クリックお願いします!


今すぐチェック!
↓↓↓
2016.11.05 Sat l 年金 l top ▲