マネーポストWEB 10/31(月) 16:00配信

 国民が知らない間に、かつてないほどの年金制度の大転換が行なわれようとしている。年金生活者が今現在受け取っている受給額を減らす「年金減額」法案だ。今回の改正案では、物価が上がっても下がっても現役サラリーマンの平均賃金が下がれば年金生活者の受給額をマイナス・スライドさせるという制度に変わる。

 年金法改正案が成立すると、5年後の平成33年から減額ルールが適用される。では、受給額はどのくらい減らされるのか。厚労省はその試算を出し渋った。

 そこで行政書士でもある井坂信彦・代議士(民進党)は過去10年間の物価と賃金の変動推移をもとに現行制度と年金額を比較し、新ルールなら10年間で年金額が5.2%下がっていたことになるとの試算を弾き出した。

 国民年金は1人「年間約4万円」の減額、厚生年金の場合、夫婦2人で月額約22万7000円(年間約271万円の標準モデル世帯)で、「年間約14万2000円」の減額になる計算だ。

 年金生活者には14万円の収入減の影響は大きい。経済評論家の荻原博子氏は定年後の「セカンドライフ」が大きく変わると語る。

「年金生活者世帯の家計は今も赤字で、年金では足りずに預貯金を取り崩しながら生活している方が多い。

 それでも今は60代はリタイア後に夫婦で旅行、70代はガーデニングなどの趣味にお金を使う人が多いが、年金が減っていくとなると、自分たちの娯楽費や交際費はできるだけ使わないというマインドになる。

 その先は生活を切り詰める。まず食費を抑え、外食はしない。孫への小遣いは減らしたくないから、新聞をやめる人も増えるでしょう。服や家具、耐久消費財は新しく買いません。預貯金でどれだけ食いつなげるかをシビアに考える」

 総務省の家計調査(2015年)からもそれがわかる。夫65歳以上、妻60歳以上の年金生活世帯(無職世帯)の家計は生活費が月約27万5000円かかり、年金などの収入では足りずに毎月約6万円を貯蓄から取り崩している。ただでさえ消費税増税前(2012年)に較べて支出は税金・保険料(3万2000円)や食費(6万2000円)、携帯電話などの交通・通信費(2万7000円)が増えており、その分、交際費や家事用品などの支出を抑えている。

 そこに加えて年間14万円も収入が減少すれば、新たに保健医療費分(月額1万5000円)に相当する金額を捻出しなければならない。

 比較的資産を持つ現在の高齢者世代の消費が落ち込むと、デフレは解消せず、賃金も下がる。その結果、年金額の引き下げに拍車がかかるという悪循環が生まれる。

「現在40~50代の次の世代はもっと悲惨です。年金生活を迎えても受給額は年々減っていく上に、資産も少ない。生活は危機的状況になると覚悟していく必要があります」(前出・荻原氏)

 前出・井坂氏は、国は総額10兆円の年金カットを目論んでいると指摘する。

「年金カットの総額は10年で約4.2兆円ですが、これに特例水準の見直し(※注)など他の年金削減を加えると国は10兆円ほど年金支払いを減らせるという計算になる」

【※注/1999~2001年の3年間、物価が下がったにもかかわらず、政府は景気対策として年金額を引き下げずに据え置いた。これが本来より高い特例水準であるとして、2013年から段階的に年金額を引き下げた】
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2016.11.05 Sat l 年金 l top ▲