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現代ビジネス 11/28(月) 7:01配信

滑稽な「レッテル貼り」
 11月25日午前の衆議院厚生労働委員会において、年金改革関連法案について筆者は参考人として意見陳述した。同法案は同日午後の同委員会で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決された。

 これを「強行採決」と報じるマスコミは困ったものだ。

 また、反対する民進党議員らが委員長席に殺到し、彼らはカメラマン席に向かって「年金カット 反対!」などと書かれたボードを掲げていたが、まったく滑稽な光景である。

 そもそも、「強行採決」とはマスコミ用語で、少数派が審議を希望しても多数派が審議が尽きたということで採決することをいう。なかなか英訳しにくい言葉であるが、それは欧米では議会の手続きに従っているかぎり、「強行」とはいわないからだ。つまり、議会手続きに瑕疵(かし)がなければ、議会政治の基本としての多数決による普通の採決であるのだ。

 また、民進党などは「年金カット法案」というレッテルを貼るが、はたしてどうか。

 法案の中身は、年金額改定ルールの見直し、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織の見直しなどである。

 そこで、筆者が国会で行った意見陳述の骨子を紹介しよう。これはあくまで筆者のメモなので、実際に国会で話したことと異なる点もあるが、趣旨は変わっていない。

世代間格差是正の第一歩
 【マクロスライド制】

 「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」については、賛成の立場で意見を述べる。

 私はバランスシートアプローチを提唱し、それに基づく分析をしてきた。2004年改正で導入されたマクロ経済スライド制は、年金財政の安定性を高めるとともに、世代間格差の拡大を少しでも食い止めるための措置だ。

 過去の改正は、世代別のバランスシートで見れば、世代間の格差を広げた可能性があるものがあるが、マクロスライドで、現在の高齢者の給付を削減し、将来の高齢者の年金を確保しようとした試みは、評価に値する。

 【デフレ】

 問題は、過去の政権でスライド制の実施を行わなかったことだ。そのため世代間格差が広がる一方だった。

 遅きに失したとは言え、今回の法案は、わずかではあっても、こうした現状を改善し、現役世代の保険料負担が重くなり過ぎないようにし、将来世代の年金給付を増やそうとしている点で賛成だ。これは年金の持続可能性の観点からも望ましい。

 これまでの政権でのデフレは明らかに問題だ。デフレだからスライド制を実施できないと言いながら、デフレを放置してきたのだから酷い。

 そもそも、デフレでは経済運営が困難になる。例えば、財政再建は名目成長率が高くないとうまくいかない。1960年代からのOECD加盟国の中で、財政再建に成功した事例と失敗した事例を調べると、名目成長率が高くなったほうが成功している。

 小泉政権・第一次安倍政権のときに、経済成長によって基礎的財政収支は大幅に改善し、今の安倍政権でも同様な傾向になっている。これを分析すれば、1年前の名目成長率は基礎的財政収支と強い相関があり、名目経済成長すると1年後に基礎的財政収支が改善するという、単純な事実がある。こうした関係は、日本独自のものではなく、先進国でみられる。

 デフレ脱却のカギは、金融政策だが、これまでの政権はその理解が欠けていた。今の安倍政権は、その点は過去の政権よりマシだ。しかし、2014年の消費増税のために、デフレ脱却の絶好機を逃したのは残念だった。

歳入庁創設を
 【歳入庁】

 少子高齢化社会において、年金の財源確保は大きな問題だ。

 例えば、委員会でも議論されていた国民年金未納や、厚生年金の加入要件を満たすにもかかわらず、加入していない「加入逃れ」の問題を解消することも重要だ。まずは納めるべき社会保険料なのに納められていない、徴収すべき保険料が徴収されていないところからしっかりと集める必要がある。

 国税庁が把握している法人数と年金機構(旧社保庁)が把握している法人数は80万件も違う。労働者から天引きされた社会保険料が、年金機構に渡っていない可能性がある。そのため、社会保険料の徴収漏れは少なくとも数兆円程度と推計される。

 あわせて行政改革も必要である。

 政府が進める社会保障と税の一体改革においても、税と社会保険料の性格が違うこと、公務員である国税庁と非公務員である独法の年金機構の組織上の問題があるが、社会保険料と税を一体的に管理できる世界的な潮流である歳入庁創設をもう一度検討すべきだ。

 歳入庁は国民にとっても1ヵ所で納税と保険料納付が済むし、行革の観点からも行政の効率化になる。海外では、米国、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが、歳入庁で税と社会保険料の徴収の一元化を行っている。東ヨーロッパの国々でも傾向は同じで、歳入庁による徴収一元化は世界の潮流と言ってよい。

 しかし、歳入庁の創設は財務省にとって都合が悪いらしい。国税庁は財務省の植民地になっており、国税権力を財務省が手放さない。私の経験では、第一次安倍政権で旧社保庁を解体し、歳入庁を創設しようとした時にも激しく抵抗した。

消費税は地方税に
 【消費税】

 社会保険料の抜本的な改革案について、そもそも、消費税の位置づけについて、まったく間違っている。消費税を社会保障目的税化しているが、そうしている国は寡聞にして知らない。社会保障は、助けあいの精神による所得の再分配なので、国民の理解と納得が重要だ。

 というわけで、日本を含めて給付と負担の関係が明確な社会保険方式で運営されている国が多い。もっとも保険料を払えない低所得者に対しては、累進所得税が投入されている。ただし、日本のように社会保険方式といいながら、税金が半分近く投入されている国はあまり聞かない。

 消費税の社会保障目的税化は、社会保障を保険方式で運営するという世界の流れにも逆行するものだ(ドイツのように消費税引き上げの増収分の一部を、特定用途に使った国はある)。

 消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、1990年代までは大蔵省の主張でもあった。しかし、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いた。

 なお、平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある。

 こう考えると、消費税は、安定財源なので、国の社会保障目的税ではなく、基礎的な行政を行うための地方税とすべきという結論になる。

 消費税は一般財源だが、国が取るか地方が取るかという問題になるが、地方分権が進んだ国では、国でなく地方の税源とみなせることも多い。これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。

 こういうと、ヨーロッパの国では消費税は国税だという反論が出る。しかし、ヨーロッパの国は一国の規模が小さく、GDPでみても日本は欧州の国が7つ、8つくらい集まった規模だ。ヨーロッパの場合にはサイズが小さく、日本からみれば地方単位であるので、EUを一つの国として、その中に地方があり、それぞれで消費税を導入しているという見方もできる。

 また、地方分権の進んだ国では、オーストラリアのように国のみが消費税を課税し地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアのように国と地方が消費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように国は消費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式がある。

 これらをみると、世界をみても、分権度が高い国ほど、国としての消費税のウエイトが低いといえる。

 いずれにしても、消費税を地方税としっかり位置づけた上で、保険料と累進所得税で財源を賄うことで社会保険料の抜本的な改革を行うべきだ。

年金運用の正解は?
 【GPIF】

 最後に、行政改革との観点、年金財政の安定化の観点から、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金運用について、述べたい。

 年金運用というと、株式と条件反射する人が多いが、年金財政の観点から見れば、インフレヘッジのためには株式は必ずしも必要でなく、例えば、市場運用はせずに全額を非市場性の物価連動国債にすればよい。それで、市場運用に伴う不確実性も排除され、年金財政もリスクなしで問題ない。

 これは、GPIFという大きな組織のかわりに、運用担当者一人になってもできる話だ。なぜならば、担当者が「今月はいくら分買います」と財務省に電話すればいいだけなのだから。

 こういった提案にはGPIFは反対だろうし、GPIFから運用委託を受けている民間の金融機関も反対だろう。100兆円を越える資産を運用し、その信託報酬をたった0.01%取れただけでも、金融機関には手数料として100億円が転がり込むおいしい仕事だからである。

 実際、金融機関の厚労省詣では霞が関でも有名だ。その中で、関連団体のポストを天下り用に用意する、といったこともあるといわれている。

 GPIFの今の体制ではなく、非市場性の物価連動国債という運用組織にすれば、無駄排除とともに癒着構造も解消できる。

 さらに、この非市場性の物価連動国債は、ファンドマネージャーによる裁量はない。しかも、市場運用の与える市場インパクトの問題も回避できる。この点は、市場運用が巨額になっても問題点を回避できるので、大きなメリットだ。

 * * *

 以上が意見陳述の骨子だ。その後、質疑があった。

若いうちから自衛を
 まず、年金だけで老後をまかなえるかという質問があった。

 これに対しては、年金制度だけでは無理なので、生活保護を含めて各種の社会保障制度を組み合わせて対応するしかない。これは他の参考人も同じ意見だった。

 筆者は、かつて官僚時代に経済財政諮問会議で提案したことがある「社会保障個人勘定」を引き合いに出して、保険原理で各社会保障は運営されているのだから、個人ベースの持分権がわかるので、それらを自分の個人勘定内で融通しあう制度も検討したらいいといった。

 これは、お好みメニュー方式やカフェテリア方式といわれるもので、健康に自信があるなら健康保険の自分の持ち分を年金の持ち分に移行するなどで、各人の好みに応じて自分の社会保障を再構成するものだ。

 それに関連して、政府が行うべき責務を国民に知らせるという意味で、年金定期便を制度化したというエピソードも紹介した。

 これも筆者が官僚時代に制度発足に関わったことであるが、年金定期便は、政府が提供すべき年金の将来を個人ベースで伝える役割があり、それで不十分な人は若いうちに何らかの手段で政府年金を補完することを行うべきだ。下流老人といわれるが、老後になってからでは職もないので対応できるはずがない。

 また、公的年金は現在基本的に賦課方式であるが、これを積み立て方式に変えることに関して質問があった。筆者以外の参考人は、できない、すべきでないという意見であった。

 筆者は、今の方式では、当初の段階で保険料を払っていない人が年金給付を受けており、それが世代間不公平の元凶となっていることを指摘し、世代間不公平を抜本的に改めたいなら、積み立て方式も検討対象に値するといった。もちろん制度変更には長い時間を要するので、国家百年の計で臨まなくてはいけないともいった。

民進党議員に聞きたかったこと
 国会の参考人は、国会議員への質問が禁じられているので、退屈なのだが、この法案に反対していた民進党や共産党議員には、デフレ放置の責任を聞きたかった。

 民進党などは、年金カットというが、デフレを放置し、それにもかかわらず年金カットをやらなかったことを自慢しているとすれば、情けない。デフレを放置し失業が増えて、失業がなければ払う必要のない失業給付や生活保護費を余計に払わなければならなくなったことをどう考えているのか。

 しかも、そのデフレ期に本来行うべきスライド制を無視して、今になってそのツケを払わざるをえなくなったのに、それを批判するとは、原因を作りながらのマッチポンプではないか。

 さらにいえば、保険料徴収を公平に行うための切り札になっている歳入庁について、民進党は政権をとる前に政権公約に入れておきながら、政権をとった後に反故にしている。一方、消費増税については、政権をとる前にやらないといいながら、政権をとった後に増税を決めている。そうした変節のほうが、年金財政の安定性に害であるが、その説明がまったくされていないのはおかしい。

 しかも、民進党がデフレを放置し、毎年行うべき調整が行われず給付額が高止まりしていたものを本来の額に戻すに過ぎないのに、それを「年金カット」と言うのはいかがなものか。

 民進党のほうが、年金財政に危ないことばかりやっており、マクロ経済スライド制という年金財政の安定化に貢献することに反対するのは理解できないといわざるをえない。
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2016.12.03 Sat l 年金 l top ▲
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