総務省の年金記録問題検証委員会が、約五千万件の「宙に浮いた記録」など社会保険庁のずさんな年金記録不備に関する最終報告書をまとめた。
 検証委は検察官OBや弁護士、大学教授らでつくり、六月から調査・検証を進めてきた。国民の年金に対する信頼を根底から揺るがせた記録不備問題の実態や責任の所在をどう解明するか注目された。
 報告は「年金記録を正確に管理する使命感、責任感が決定的に欠如していた」と厚生労働省と社会保険庁を非難。記録の訂正は給付の裁定時に行えばよいとする安易な考え方のもと、厳格な姿勢を欠いたまま業務を行ったなどと指摘した。厳しい批判は当然だ。
 一方、大きな焦点だった責任の所在については踏み込み不足が目立った。
 報告は「歴代の社保庁長官をはじめとする幹部職員の責任は最も重い」としたものの、厚労省については「関係部署の幹部職員にも重大な責任がある。厚労相も責任は免れない」との指摘にとどまっている。
 いずれも個々の責任問題の明示は見送った。検証委として歴代厚相らの意見聴取も行わなかったのは首をかしげざるを得ない。影響の大きさを考えると、責任追及をあいまいなままにすべきではない。
 新たに判明したデータにも驚かされた。「宙に浮いた」記録から無作為抽出した七千八百四十件のサンプル調査の結果、入力ミスや氏名変更などで持ち主の特定が難航しそうな記録が38・5%あるというのだ。
 政府は、誰のものか分からない五千万件について基礎年金番号と照合する名寄せ作業を来年三月までに終えると繰り返してきた。だが、もともと困難が予期されていたとはいえ、これほど大量の記録が特定困難となれば深刻だ。
 さらに、サンプル調査で住民基本台帳ネットワークを利用して調べた結果、「生存の可能性が高い人」の分が33・6%に上り、そのうちの約30%、つまり全体の約一割が六十歳以上の記録だった。五千万件にあてはめると大量の受給漏れ発生の恐れが否めず、年金番号との統合作業を急がねばならない。
 社保庁は年金記録不備が発覚した際「大半は死亡した人らの記録」としていたが、もはや、そんな言い訳も通らない。
 未統合による給付漏れ総額には言及していないものの、年金記録管理のずさんさを裏付けたのが検証委報告だ。舛添要一厚労相は「特定が難しく時間がかかるのは一割程度ではないか」と反論するが、不明記録を最大限減らすため照合作業に全力を挙げるべきだ。
 一方、保険料を納めた証拠のない「消えた年金」について給付を判断する年金記録確認第三者委員会は、体制充実が課題の一つだ。愛媛地方委員会の場合、受付件数は三百二十四件で、三十二件を審査したにとどまる。政府は委員倍増などの対応を決めたが、速やかな審査による救済を望みたい。
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2007.11.06 Tue l 年金 l top ▲