給付額 世代間格差も課題

 基礎年金(国民年金)の財源を巡る議論が活発になってきた。政府の経済財政諮問会議は、現行の「保険料方式」を維持して国庫負担を2分の1に引き上げる案のほか、全額税金で賄う「全額税方式」も選択肢とする考えを示した。ただ、与野党も含め、追加的に必要となる財源規模の議論が先行し、国庫負担の実態はどうなのか、保険料と給付の関係はどうなっているのか、といった基本的な議論が置き去りにされている感が否めない。(編集委員 安部順一)

■実質2階建て

 政府はすでに、2009年度までに基礎年金の国庫負担を現在の3分の1から2分の1に引き上げる方針を決めている。国庫負担と言うと分かりにくいが、保険料を40年間納めた人が受け取る月額6・6万円の年金のうち、半分の3・3万円分(現在は2・2万円)は国の税金で賄うようにするという意味だ。

 見方を変えれば、実は基礎年金は、税金だけで賄われる部分と保険料だけで賄われる部分の実質2階建てになっている。考えなければならないのは、この税金だけで賄われる部分の意味合いだ。

 厚生労働省の推計によると、公的年金加入対象者7059万人のうち、未加入や保険料が2年間未納となっている340万人(4・8%)を除く6719万人(95・2%)が保険料を納めており、25年間の最低加入期間を満たせば年金を受け取れる。

 税金だけで賄われる部分は、年金額が保険料を納めた期間によって月額3・3万~2・1万円(国庫負担2分の1の場合)とばらつきがあるものの、大多数の95・2%が受給対象となるという意味で全額税方式に近い性格を持っている。

 全額税方式を巡っては、「現役世代だけでなく高齢者も一定程度税金を負担することになる」「高額所得者にも年金を払う必要があるのか」などの課題が指摘されている。だが、実際には、税金だけで賄われる部分(国庫負担)を維持するために、すでに高齢者も消費税などの形で負担しているし、高額所得者にも年金が給付されている。一方、未納・未加入者が税金を納めていても、全く恩恵を受けられない矛盾もある。

 もちろん基礎年金すべてを全額税方式とするには、これまで納めた保険料をどうするか、企業の負担をどうするかなど、問題が山積している。しかし、現行の保険料方式を維持する場合でも、国庫負担の意味合いを説明しないと、負担増に国民の理解は得られない。

保険料分元本割れも

■公平性

 保険料による社会保険方式は、厚労省が「負担と給付の関係が個人ベースで明確」と説明するように、保険料を40年間納めた人が満額の年金、最低加入年数の25年間納めた人はその63%分と、納めた年数に応じた年金額を受け取れる仕組みだ。

 しかし、世代ごとの保険料負担額と年金給付額をみると、05年時点で60歳だった人が保険料負担額の3・4倍の年金を受け取れるのに対して、20歳だった人は1・7倍の年金しか受け取れず、世代間の公平性は必ずしも保たれていない。

 しかも、その半分は税金だけで賄われる(国庫負担分)ため、20歳だった人が保険料だけで受け取れるのは0・9倍。つまり、国庫負担がないと元本を大きく割り込むのが実態だ。

 国庫負担がなければ成り立たない制度が本当に今後も持続可能なのか、この点についても議論していく必要がある。
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2007.11.06 Tue l 年金 l top ▲