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12月16日17時54分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071216-00000916-san-pol

 誰のものか分からない年金記録約5000万件のうち、約2割が統合困難であることが判明し、「最後の1人、最後の1円まで確実に年金を支払う」という政権公約の実現は絶望的になった。ところが、福田康夫首相や舛添要一厚生労働相からは公約撤回に対する謝罪の言葉は聞かれない。民主党など野党は、1月15日まで再延長された国会で政府・与党を追及していく構えだ。政治家の言葉の軽さに、年金不信だけでなく政治不信も広がりつつある。(河合雅司、桑原雄尚)

 ■言葉の軽さ

 「記録統合作業はエンドレスで、できないこともある」。舛添要一厚生労働相は11日の記者会見で、あっさりと公約断念を表明した。

 来年3月までの照合完了-。なぜ、政府・与党は、できもしない公約をしたのだうか。夏の参院選で、自民党が劣勢を盛り返そうと、誤解を承知で誇張し過ぎた結果、公約の中身が変質したことに原因がある。

 「最後の1人まで記録をすべてチェックし、正しく年金を支払う」。

 参院選前、安倍晋三首相(当時)が何度となく街頭演説で使ったフレーズだ。自民党は「5000万件を1年間ですべて統合できる」とのチラシを作成した。政府や自民党は記録の持ち主の手がかりを探すための作業に過ぎない「照合」と、記録の持ち主を特定し修正する「統合」を、しばしば混同して使った。

 この結果、「来年3月までの照合完了」は「来年3月までの問題解決」として国民に浸透していった。自民党のチラシについては、野党が何度も国会で取り上げ批判したが、明確に訂正されることはなかった。

 福田康夫首相も10月3日の衆院本会議で「来年3月までに実施する」と安倍政権の作業スケジュールの踏襲を明言。舛添氏は「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」とさらに踏み込んだ。

 だが、福田政権は、国民が年金記録の公約をどのように理解しているのか、あまり気に留めていなかった節がある。

 首相は945万件について、「公約違反というほど大げさなものなのか」と語った。さらに「公約でどう言っていたか頭にさっと浮かばなかった」と、国民の神経を逆なでするような言葉も飛び出した。


 14日には「誤解を招いたという意味では、説明した人の責任でもある」と謝罪を口にしたが、これは混乱を招いたことをわびたのであって、「みなさんが公約違反だと決めつけているから、いくら抗弁しても、なかなか説明するのは難しい」とも述べ、相変わらず公約違反との認識は持っていないようだ。

 安倍政権は年金対応のまずさがきっかけで支持率が急落した。それだけに、与党内では、福田首相の発言と世論の温度差の乖離(かいり)に懸念が広がりつつある。

 ■なぜ特定困難?

 社会保険庁が発表した5000万件の内訳によると、照合プログラムで基礎年金番号と統合可能な記録は全体の2割の1100万件だ。これに対して、4割にあたる1975万件は手作業で手書き台帳などにさかのぼらなければならず、そのうち945万件は、手書き台帳と照合したとしても特定が困難であることが分かった。

 どうして、多くの記録の特定困難となったのだろうか。社保庁によると945万件の大半は、(1)社保庁職員のオンラインシステムへの入力ミス(2)加入者が就職条件をクリアするために氏名や年齢を虚偽申請(3)企業が節税対策で架空の人物を届け出ていた(4)海外に移住したり、かつて日本で働いていた外国人の記録-とみられるという。

 (1)の場合、データのどの部分が間違っているのかが分からず、無理に類推すれば別人の記録と混同する可能性も高まる。(2)と(4)は、本人や企業からの申し出がない限り手がかりをつかむのは難しい。(3)は、持ち主が現れるはずもない。

 945万件以外も特定作業が簡単だとは言い難い。社保庁は照合プログラムの一致条件を広げるなどして、さらに調査を行うが、最後は手書き台帳との照合が必要だ。ところが、手書き台帳には戦災で消失したり、劣化で判読不能になっているものもあるためだ。

 死亡とみられる280万件や結婚で姓が変った510万件は、記録確認を促す「ねんきん特別便」の送りようがない。社保庁は自治体の広報などで呼びかけるが、遺族年金などの仕組みを詳しく知らない人は少なくなく実効性は未知数だ。

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2007.12.27 Thu l 年金 l top ▲
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