3月21日18時39分配信 オーマイニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080321-00000009-omn-soci

 持ち主のわからない年金記録、いわゆる「宙に浮いた5000万件」の持ち主を特定するため、昨年末から「ねんきん特別便」の発送がスタートした。特別便は、まず3月末までに記録漏れの可能性が高い1030万人に、社会保険庁のコンピュータに登録されている年金記録を郵送し、記録が抜けていないかどうかを確認してもらうもの。その後、10月ごろまでに、年金受給者や現役加入者の全員(約1億人)に同様の年金記録を送付する。

 特別便には厚生年金の加入期間や勤め先の名称、あるいは国民年金の加入期間などを記載した「年金記録のお知らせ」が同封される。受け取った人はその内容を確認し、訂正の必要がなければ「確認はがき」の「訂正なし」を○で囲んで返送。記録漏れの加入期間や記載内容に誤りがある場合、現役加入者は必要事項を記入して返送。また、すでに年金を受給している人は、年金証書を添えて近くの社会保険事務所へ出向かなければならない(郵送による手続きも可)。

 社会保険庁によると、1月16日までに送付した特別便は約73万通。このうち「訂正あり」の回答をした人は、全体の1割に満たない約 5万人。加入記録に漏れがある可能性が高いにもかかわらず、3割強の約25万人が「訂正なし」の回答を寄せ、未回答者は過半数を超える約42万人に上る(1月21日現在)。

 特別便には小さな文字で、「5000万件の確認中の記録の中に、あなたの記録と結びつく可能性のある記録があるため、お知らせします」と記載されているだけ。これでは特別便が送られてくる意味すらわからない高齢者が多い。加えて、<記録と結びつく可能性のある>未統合の記録は一切記載されていない。社会保険庁がコンピュータ上で持ち主を探す「名寄せ作業」を効率よく進めるには、記録が漏れている可能性のある期間を明示するなどの情報提供が欠かせないはずである。

 同庁は相変わらずの責任逃れ、隠ぺい体質との批判を受け、2月上旬の発送分から「あなたの年金に結びつく可能性のある記録が見つかりました」という注意喚起文を同封することになった。しかし、記録漏れの可能性が高い情報を提供するなど、抜本的な改善はなされていない。しかも、すでに送付した約108万通の特別便を再送することになり、その郵送料など1億数千万円がムダになった。

 では、特別便が届いた人は、自己の年金を守るためにどう対処すればいいのか。3月末までに特別便が届いた人は、年金記録訂正の可能性が極めて高いという自覚をもって、これまでの年金加入記録を確認すること。

 確認すべきは、まず資格取得年月日と資格喪失年月日。国民年金の加入履歴がある人は保険料の納付状況、厚生年金の加入履歴がある人は事業所名の確認も忘れてはならない。さらに複数の公的年金の記録がある場合は、前に加入していた年金の資格喪失年月日と、次の年金の資格取得年月日がつながっているかどうかを精査する。つながっていない場合は、その間の記録漏れの可能性を疑う。疑問が生じたら、ともかく近くの社会保険事務所へ出向くことを薦めたい。

 社会保険事務所の窓口で“年金官僚”と対決するには、できる限り、過去の職歴と年金加入歴の「記録」と「記憶」を集めた「自分史」を武器に“専守防衛”するしかない。社保庁に記録がなく、給与明細などの証拠書類を保存していない場合は、2007年6月に総務省に設置された「年金記録確認第三者委員会」に申し出る方法もある。

 さらに厚生年金の受給者や加入者は、過去にどれくらいの給与をもらっていたかを調べておくことも重要だ。厚生年金は掛け金も支給額も給与月額に比例する。たとえば給与月額19万5000円から21万円の場合、20万円(標準報酬)とみなして掛け金や支給額が決まる。この標準報酬にどれほど誤記があるのか明らかにされていないが、64万円の月収を1桁間違えて6万円で記録された事例もある。しかし、今回の特別便では煩雑になるとの理由から、標準報酬は確認事項になっていない。

 宙に浮いた年金記録は、特別便の発送で少しずつ問題が浮き彫りになるだろうが、年金問題はこれまでの官民(社保庁VS加入者あるいは受給者)の争いから、民民(企業・事業主VS加入者あるいは受給者)の争いに発展しかねない様相となってきた。というのは、昨年末に「厚生年金保険料納付特例法」が成立・施行されたからだ。

 これまで厚生年金の保険料を給与から天引きされていたもかかわらず、事業主が加入手続きをしていなかった(保険料をネコババ)場合、時効消滅となる2年間を経過すると、その記録は年金に反映しなかった。しかし、同法の施行により、保険料の給与天引きがあったことを「年金記録確認第三者委員会」が認定したときは、年金記録を訂正し、年金額に反映されることになった。

 周知のように、法人事業所は従業員の人数にかかわらず厚生年金に加入しなければならない。個人事業であって、常時使用する従業員が5人に達すれば強制加入となる。ところが、実態は法人であっても、従業員が少人数の事業所は厚生年金に入っていないところが少なくない。さらに、従業員本人は厚生年金に加入していると思っても(給与から保険料を天引き)、企業や事業主が保険料を国に納めていないケースも発覚している。

 こうした事例は、中小企業に限らない。退職日を操作するなどで、保険料の納付を逃れる大企業も珍しくないからだ。たとえば、退職日が3月31日であれば資格喪失日は4月1日となり、保険料は3月分までを納付する。ところが、退職日を1日操作して3月30日にすると、資格喪失日は3月末日となり、保険料の納付は2月分までとなる。また、社保庁が保険料の納付率を上げるために、財務状況の苦しい企業に、従業員の給与を低く申告させ、国への納付額を抑えさせていた事例もある。

 特例法は、こうした被害者の年金記録の訂正を認める一方で、企業や事業主が納付しなかった保険料の請求権は国側がもち、その権利を事業主に行使することから、企業や個人事業主の「年金倒産」が起こるのではないかと危惧されている。

 特別便は社保庁の年金記録のずさんな管理に加え、企業や事業主のデタラメさが暴かれることになり、年金問題は「官民から民民の争い」に発展する。特例法は、社保庁の責任逃れや隠ぺい体質から国民の目をそらす意図が透けて見えるのだ。
スポンサーサイト

 ←応援クリックお願いします!


今すぐチェック!
↓↓↓
2008.04.05 Sat l 年金 l top ▲