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8月17日11時43分配信 Business Media 誠

 総選挙が告示され、8月30日の投票日に向けて、一斉に現職も新人候補者も正式に走り出す。政権交代が実現しそうだということで、何となく政治家は浮き足だっているようにも見える。残暑が厳しい中で政治家にとってはいっそう暑い夏になるに違いない。

●これからの日本の姿

 いまいちばん問われるべきは、これからの日本の姿であることに反対する人はあまり多くはないと思う。中でも最大の問題は何か。それは高齢化が急速に進むと同時に、人口が減少する社会になっていることだ。

 人口が減るということがどれほどの大問題なのか、その認識がいまひとつ欠けているように思う。自民党も民主党も子育て支援という姿勢を色濃く打ち出しているが、それによって人口が増えるのを待つというのは、たとえて言えば「百年河清を待つ」ような話だ。

 人口を維持するためにはいわゆる合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)が2を若干上回らなければならないとされているが、日本は3年連続で上昇しているとはいえ、1.37(2008年)にしかすぎない。とても人口を維持することは不可能なのである。

 人口が維持できなければ何が問題か。よく生産人口が減るということが指摘されるが、それは大した問題ではないのかもしれない。たとえ生産人口が減っても、生産性を上昇させるとか、企業の定年を延長するなどによって不足する労働者を補うことはできるだろう。まして日本の場合は、女性の労働人口の割合が先進各国に比べれば少ない。

 25歳から29歳の年齢層では、ドイツや米国、スウェーデンと比べてもそう大きな差はないが、30歳代から40歳代になるとぐんと低くなる。30代前半では日本が61.4%であるのに対し、スウェーデンは83.7%にも達している。要するに出産したり子どもを育てるために、仕事から離れざるをえない女性がたくさんいるという話である(このような状況に対しては、保育所の待機児童をなくすというような対策が有効だろうと思う)。

 しかし生産だけではない。問題は需要側にあると思う。子どもの数が減るということは、それだけベビー用品からおもちゃ、ベッド、衣類などなど赤ちゃんにまつわる商品の販売が減る。毎年子どもの数が1%減れば、こうした商品の売り上げも1%自動的に減ることになる。もちろん出生数が増えればその逆になる。

 そして子どもの数が減れば、人口構成が頭でっかちになる。つまり団塊の世代が60歳を過ぎて、この世代を支える若い世代の幹が細くなるのである。周知の通り、それによって、医療費も年金も大きな影響を受ける。

 こうしたことは予測しえたのに、大きな声で警鐘を鳴らした人はほとんど見当たらない。それはなぜなのか。人口と経済成長の間にどれだけ因果関係があるのかがはっきりと論証されていなかったからだろうか。それとも、人口問題を論じれば、その議論の行き着く先は移民問題につながってきかねないからだろうか。実際、移民については、強いアレルギー反応を示す人もたくさんいる。

 しかし人口が減り、高齢化する社会は、活力を失う社会である。国の社会保障を信用していない高齢者は、自分の貯金を使おうとはしない。ましてこの金融危機で金融資産にかなり大きなダメージを被った人々はなおさら財布のひもを固く締めているだろう。

●移民を受け入れること

 こういった状況を打開する唯一の手立ては、移民を受け入れることだと思う。もちろん闇雲に受け入れる必要はない。日本で働き、家族を持ち、永住する気持ちのある人々を受け入れればいい。日本の大学や企業で研究職に就くような人々なら、技術立国日本にとってなおさら好都合かもしれない。彼らが日本で働いて税金や年金を払い、医療保険にも入れば、日本という国にとっては大きな助けになることは疑いない。

 もし、移民は社会的に問題を引き起こすから嫌だというのであれば、あなたは日本という国が徐々に衰退していくことを受け入れるのか。こう問われたら、人々はどのように答えるのだろうか。移民を受け入れなくても(すなわち人口が減っても)、日本という国を成長させることは可能だと答える人が多いような気もする。ここまで来ると水掛け論になるから、結局のところ「移民」という社会的大問題、それも議論を呼ぶような大問題に取り組もうとする政治家は現れない。

 そして“ゆでガエル”の話ではないが、気が付いたときにはもう間に合わない、ということにもなりかねない。
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2009.08.19 Wed l 年金 l top ▲
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